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AIを人事で応用する場合のリスクについて

(独)経済産業研究所のサイトの記事「AIと働き方 「人事」でデータ活用力磨け」を読みながらの感想です。


誰のための記事?

 経営者、人事担当者、HR系ディベロッパ

 

ざっくりと内容は?

 AIの人事面での応用領域は3つある。1「採用における書類選考や人事などの社内サービスへの問い合わせをAIに担わせる業務の効率化」、2「最適な人材配置を提案するなどのマッチングの効率化」、3「本人の希望やキャリアパスに応じた研修の提案などの人的資本投資の効率の改善を狙った能力開発のカスタマイゼーション」

 このような技術の供給がある一方で、2つの構造変化要因によって、これを利用する側のリスクが高まっているので注意が必要とのこと。 

2つの構造変化要因とは?どのようなリスク?

【構造変化要因】

  1. 少子化による採用側の人材獲得難の深刻化

人材の獲得に際して2つの間違いが起きうる。①「会社に貢献しない者を採用してしまう」、②「会社に貢献するであろう者を採用しない」。日本企業では従来①の間違いの最小化を目指してきたが、少子化による採用難の中②の間違いのコストが上昇している。

  1. 人事の分権化

集権化した人事部では迅速な資源配分が困難。加えて社員のキャリアパスやニーズが多様化し、現場抜きでの人事施策が困難。このように現場の管理職に求められるスキル水準は上がるが、保有するスキルとの間にギャップが生じている。ゆえに、管理職が担うべき育成・配置業務の支援ツールが多数考案されている。

 ツールを使う側に、統計的な素養とデータ分析の経験が求められる。AIは隠れた相関関係を拾うことはできても、因果関係やメカニズムは人間が判断する必要があるし、データに計測誤差や統計的バイアスの可能性があるかを理解する必要がある。

 次に、機械学習を使ったツールには教師サンプルが必要となるが、教師サンプルが間違っているとツールも同じ誤りをする。したがって、教師サンプルの評価が必要。

【リスク】

近視眼的なデータ活用は、従業員や応募者の差別につながりかねないという点である。多くの適性検査がストレス耐性などメンタルヘルスのリスクを計測する質問項目を入れている。AIによる人材配置の提案にしても、過去の業務履歴が将来の職種適性を規定するとすれば、最初の差別が長期的なキャリア形成に大きな影響を与えかねない。

感想

①「会社に貢献しない者を採用してしまう」、②「会社に貢献するであろう者を採用しない」。これらを避けることがきちんとワークし始めると、結局、労働市場に残るのはふるいから落ちた人が大半になることになるという、社会的なリスクもありそうだ。